【5分で分かる】ERPパッケージとは?種類や機能、メリット・デメリットまで一挙紹介

「ERPという言葉は聞いたことがあるけれど、何に使うものなのだろう?」そのような疑問にお答えすべく、今回は、ERPの種類や機能、メリット・デメリット、代表的な製品の特徴や比較までご紹介します。

ERPとは


ERPとは、Enterprise Resource Planningの略で、企業の経営資源を一元に管理し、企業全体の最適化を実現するための経営手法のことです。ERPを実現するためのシステムをERPソフトウェア(または単にERP)と呼び、人事・給与、販売、生産、購買、会計、営業等を管理するための機能を有します。

ERPの起源

ERPの起源は、1973年にSAP社がリリースした「R/1」という製品だと言われています。当時は分散していた基幹システムを、同一のアーキテクチャーで統一された一つの統合システムとし、データを一元管理することが主たる目的でした。

ERPが日本市場に登場したのは、1992年のことです。この年にSAP社の日本法人「SAPジャパン」が設立されました。当時、欧米ではBPR(Business Process Re-engineering:業務・組織・戦略を根本的に再構築する経営手法)が注目されており、このBPRを実現するシステムとしてERPを導入する企業が増加。この流れを受けて、日本市場でもERPの導入が始まりました。

ERPが普及したきっかけ

日本でERPが普及したのは、1990年後半からすすんだ会計制度の改革がきっかけです。IFRS(国際会計基準・国際財務報告基準)の導入等、日本企業で会計制度をグローバル化する改革が行われる過程で、IFRSに対応するシステムとしてERPの導入が進みました。
そして、2010年代前半には、日本の商習慣に適合した国産のERPが複数のベンダーからリリースされ、費用対効果が向上。その結果、大企業のみならず、中小企業もERPの導入に積極的に取り組むようになりました。

さらに2010年代後半以降、クラウド型のERPが台頭し、ERP導入がより低コストで短期間のうちに行えるようになったことで、多くの企業が導入に踏み切っています。

ERPのモジュールと機能


続いて、ERPのモジュールと機能について紹介します。

ERPは、人事管理、販売管理など機能別に「モジュール」という単位のシステムに分かれています。ここでは、各モジュールが持っている機能について紹介します。

人事・給与管理

人事・給与管理モジュールは、採用管理、人事評価、給与計算など、従業員の人事情報を管理します。例えば、全社で共有できる人材情報データベースの運用により効果的な人材マネジメントを実現すること、勤怠管理や給与明細発行を電子化し、ペーパレスを実現することができます。人事・給与管理のシステムは、中小企業から大企業まで幅広く導入されています。

人事・給与管理に関する業務をシステム化することで、人為的なミスを防止したり、ルーティン業務を自動化したり、効率化することが期待できます。
また、従業員の実績や評価などをデータ化して管理することができるため、適切な人材を適所に配置するためにも役立ちます。

販売管理

販売管理のモジュールでは、見積書・帳票・伝票の発行、税金の計算、販売データの集計・分析などが可能です。比較的安価なパッケージ製品も販売されているため、中小企業から大企業まで幅広く導入されています。

導入するメリットとして、システム化による人為的なミスの削減のほか、タイムリーな販売データの集計・分析による経営判断のスピードアップに役立つことが挙げられます。

生産管理

生産管理のモジュールは、製品の原価や部品・素材の情報、リードタイムなどを総合的に管理します。比較的高価であり、主に大企業で導入されています。

生産管理のモジュールを導入するメリットは効率化です。Excelやメールのやりとり等による属人的なデータ収集作業をシステム化し、ミスを減らしつつ、効率化することが期待できます。

購買管理

購買管理のモジュールは、商品の発注・仕入、在庫管理業務などをサポートします。多くの場合会計管理(債務管理)のシステムと連携できるようになっており、購買モジュールを用いて商品を発注すれば、その代金が会計システム上の債務として自動的に計上されます。

購買管理のモジュールを導入すると、購買プロセスを効率化することができます。具体的には、発注書の発行や管理、銀行振り込み等の履行プロセスを自動化して、人的コストを削減したり、業務のなかで発生する人為的なミスを減らしたりできるでしょう。

会計管理

会計管理のモジュールは、日々発生する取引情報の入力や仕訳を自動化し、会計業務全般をサポートします。クラウド型のサービスも増えており、デバイスや時間、場所を問わずサービスを利用することができます。

会計管理のモジュールを導入するメリットは、業務に要する時間を節約し、人的なコストを削減することができる点です。例えば、仕分帳、決算書などの帳簿書類の作成が簡単にできるほか、販売管理や人事・給与管理のモジュールと連携し、自動仕分け作成などができます。
また、人事・給与管理、販売管理、購買管理、営業管理などの各種モジュールのデータをリアルタイムに反映し、一元的に管理された会計データを可視化し、売上、経費など多角的に分析することで、経営判断に役立つ情報をタイムリーに入手することができます。

営業管理

営業管理のモジュールは、売上実績や商談回数など営業活動に関する様々なデータを可視化し、売上を増やすためのプロセスを示します。

営業管理のモジュールを導入するメリットは、まず、高精度でタイムリーな営業数値の管理が可能になることが挙げられます。
例えば、Excelファイルをマスターデータとして営業数値を管理する場合には、個別の商談で生まれた売上をExcelに反映するまでに数時間、長ければ数日のタイムラグが生じます。
一方で、営業管理のモジュールを使う場合には、外出先であっても、営業担当がシステムに入力すれば、瞬時に売上としてデータに反映できます。さらに、営業管理のモジュールに入力した売上実績を会計管理等のモジュールと連携することができます。

次に、営業活動の品質を均一化し、組織全体の営業力を底上げできる点があります。営業活動の品質は、個人のスキルに依存する傾向があり、属人化しやすいという特徴があります。営業管理のモジュールを導入し、営業活動をきめ細かに記録することにより、好成績の従業員の活動内容を分析することができます。
そのノウハウを全社に展開することにより、再現性の高い成果が期待でき、営業活動の底上げが期待できます。

ERPの種類


続いて、ERPの種類について説明します。ERPには、以下のような種類があり、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて紹介していきます。

  • クラウド型/オンプレミス型
  • パッケージ型/スクラッチ型
  • 統合型/業務ソフト型

クラウド型/オンプレミス型

従来、ERPはオンプレミス型のソフトウェアとして提供されてきましたが、近年はクラウド型ERPが多数市場に投入されています。クラウド型はオンプレミス型に比べ、導入が手軽でコストも安価なため、導入する企業が増えています。

パッケージ型/スクラッチ型

続いて、パッケージ型ERPとフルスクラッチ型ERPについて説明します。

パッケージ型ERPとは、標準的な業務を想定して製品化された既製品のERPソフトウェアのこと。そしてフルスクラッチ型ERPとは、対象企業の業務に合わせて独自のシステムを一から構築するERPソフトウェアのことを指します。

  • パッケージ型ERP
    パッケージ型ERPのメリットは、初期費用を抑えられること、導入期間が短いことです。また導入手順がマニュアル化されており、誰でも簡単かつスムーズに導入を進めることができます。
    デメリットとして、自社の業務をある程度パッケージに合わせて変更する必要が生じる可能性があるほか、フルスクラッチ型と比較して、ライセンス費用等のランニングコストの負担が大きくなる点が挙げられます。

  • フルスクラッチ型ERP
    フルスクラッチ型ERPのメリットは、自社の業務に最適なシステムを自由に構築できることです。後述するように、導入費用は高くつきますが、導入してしまえば、ランニングコストは比較的安く済みます。
    デメリットは、初期費用が高額になるほか、導入までに時間がかかることです。システムを一から構築するため、数年に及ぶこともあり得ます。開発にあたっては、要件定義から、設計、検証まで、念入りな準備が必要になるため、開発側のみならず、発注者側の担当者にも大きな負荷がかかります。

統合型/業務ソフト型

続いて、統合型ERPと業務特化型ERPについて説明します。統合型ERPは、会計・販売・人事・生産など、経営に必要な業務の全体を包括するERPソフトウェアです。一方、業務ソフト型ERPは「コンポーネント型」ともいわれ、会計・販売・人事・生産などの業務分野のうち、ある業務分野にのみ特化したERPソフトウェアです。

ERPのメリット・デメリット


続いて、ERPのメリット・デメリットについて説明します。前述の通り、ERPには複数の種類がありますが、今回は、オンプレミス型・パッケージ型・統合型ERPであるSAPのERPパッケージを導入したパソナテックの事例を参考にして紹介します。

ERPのメリット

  • 人件費の削減が期待できる
    ERPを導入することで作業を効率化し、人件費の削減が期待できます。パソナテックでは、従来データ入力や承認、反映を段階的に行う作業フローとなっていました。しかしSAPの導入によって、各部門のデータが自動で取得・連携されるため、業務時間を削減することに成功。将来にわたって、人件費等コストの大幅な削減が期待できます。

  • 万全な不正対策が可能
    ERPでは作業履歴を残すことができるため、不正の原因追及に役立ちます。たとえばSAPの場合、データ変更を伴う作業はユーザーIDと紐づく形で記録されるため、万が一不正行為が行われた場合でも、作業履歴を参照し、原因を究明することができるでしょう。

  • 海外事業展開に有利
    SAPを含む大手ベンダーのERP製品は国際会計基準にも対応しているため、海外とビジネスを行う企業でも安心して導入することができます。海外拠点の業務や取引を一元管理することができれば、現地スタッフの人件費抑制にもつながります。

ERPのデメリット

ERP製品比較


最後に代表的なERPソフトウェアを紹介します。

クラウド/オンプレミス 統合型/業務ソフト型 特徴
Microsoft Dynamics 365 クラウド 統合型 Office製品に似たインターフェイスで操作性が高い
SAP S/4 HANA Cloud クラウド 統合型 独自技術によりデータの高速処理を実現
Oracle NetSuite ERP クラウド 統合型 通貨・言語等のグローバル対応に強み
Oracle Fusion Cloud ERP クラウド 統合型 業務モジュールを柔軟に追加可能、拡張性が高い
Infor SyteLine  クラウド/オンプレミス 業務ソフト型(業界特化型) 製造業特化型、広範な機能を標準パッケージで提供
OBIC7 クラウド/オンプレミス 業務ソフト型 国内導入実績多数、会計メインから領域を拡大中
ProActive クラウド/オンプレミス 統合型 保守サポートの期限がなく、長期運用可能

まとめ


ERPとは、企業の経営資源を一元に管理し、企業全体の最適化を実現するための経営手法のことです。ERPを実現するためのシステムをERPソフトウェア(または単にERP)と呼び、人事・給与、販売、生産、購買、会計、営業等を管理するための機能を有します。

ERPには種類があり、それぞれにメリット・デメリットがありますので、比較考量の上で、自社に合った製品を選択することが重要です。
この記事を参考にERPの導入・活用いただければ幸いです。

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