BtoBからD2Cへ!ECの特徴と導入事例を紹介

デジタル化社会が到来し、ECでの商取引は見慣れた光景となりました。

昨今は、D2C-ECを新たに構築するケースが増えています。

2019年11月、NIKEは「今後はAmazonで自社製品の販売を行わず、直販に力を入れる」と発表。D2C-ECへの転換を決めました。
さらに2020年2月には、ワークマンは楽天からの撤退を発表。自社サイトでの販売を強化する方針に切り替えました。

本稿では、D2Cへの転換を狙う際に必要となるポイントをご紹介します。D2Cビジネスを検討されている方にとって、有益な情報になるはずです。ぜひ最後までご覧下さい。

ECとは

はじめに、ECの概略を確認しておきましょう。

ECとは、電子商取引(Electronic Commerce)の略で、インターネットを介して受注・発注、決済、契約などの商取引を行うことです。オンラインショッピングをイメージしてもらえれば分かりやすいかと思います。

取引対象によって、下記のいずれかに分類されます。

種別 取引
BtoB-EC BtoB(Business to Business)で行われる電子商取引 アスクル(ソロエルアリーナ)、モノタロウ
BtoC-EC BtoC(Business to Consumer)で行われる電子商取引 Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング
CtoC-EC CtoC(Consumer to Consumer)で行われる電子商取引 メルカリ、Lancers
D2C-EC D2C(Direct to Consumer)で行われる電子商取引 NIKE、Casper、ワークマン、オールバーズ、FABRIC TOKYO

BtoCとD2Cはどちらも消費者を対象にしたビジネスですが、「中間業者を通すか否か?」によって区別されます。消費者と直接取引するのがD2Cです。

ECの市場規模

2020年7月、経済産業省はECの市場規模をまとめた資料を公開しました。

報告によれば、BtoB-EC、BtoC-EC、CtoC-ECの市場規模は、それぞれが前年比5~10%前後の伸び率で、右肩上がりに推移しています。

【例:BtoC-ECの市場規模】

取引全体に対するECの割合をあらわすEC化率も増加しており、商取引の電子化が進展している傾向が伺えます。

なお、D2Cビジネスは具体的なデータは公表されていません。しかし、昨今注目が高まっているビジネスモデルであるため、成長は右肩上がりになることが予測されます。

実際に日本からは「BALK HOMME(バルクオム)」や「BOTANIST(ボタニスト)」などがD2Cマーケットで成功しており、海外進出まで果たしています。

ビジネスモデルごとのECの特徴

ここでは、ビジネスモデルごとのECの特徴をご紹介します。

BtoB-EC

企業間の取引にECを活用するビジネスモデルです。代表的なところでは、アスクルやモノタロウがあります。

画像出典元:アスクル公式サイト

定期的な発注が必要になる消耗品の決済に向いています。インターネット上で決済が完了するECのメリットが活かせるためです。

また、特定の分野で実績ができたならば、同様の仕組みを活用してビジネスの横展開が目指せます。

企業間取引になりますので、ビジネスの開拓は企業内の稟議を得た後に受注となります。長ければ、契約までに半年~1年の時間を要することでしょう。

売上を伸ばすには相応の時間がかかります。

BtoC-EC

企業と個人の取引にECを活用するビジネスモデルです。代表的なところでは、Amazonや楽天市場があります。

画像出典元:Amazon公式サイト

ショッピングモールで商品を販売することで、販路を拡大することができます。反面、中間マージンを取られることや他社との差別化が難しいことから、昨今はD2Cを目指す企業が多い状況です。

CtoC-EC

個人と個人の取引にECを活用するビジネスモデルです。代表的なところでは、メルカリやLancersがあります。

画像出典元:Lancers公式サイト

CtoC-EC導入のポイントは、「業界のプラットフォームとしての地位を確立する」ことです。一般的に、ユーザー同士のやり取りの中で発生するマージン料で利益が生まれるため、多くのユーザーに使ってもらえるようにならなければならないからです。

D2C-EC

企業と個人の取引にECを活用するビジネスモデルです。BtoCとは異なり、直接(ダイレクト)顧客と繋がることから、D2C(Direct to Consumer)と呼ばれます。

D2Cは、「DtoC」、「D2C-EC」と様々な名称がありますが、どれも同じ意味です。D2Cは顧客と直接つながる必要があるため、ほとんどのD2CブランドがECを活用しています。

冒頭ではNIKEを例示しました。

画像出典元:NIKE公式サイト

D2C流行の背景には、モノが溢れ、他社と同列に商品を展示していたのでは差別化がしにくいことがあります。顧客と直接繋がることで自社のストーリーを伝え、他社にはない独自のセールスポイントをアピールできます。

昨今、様々なメーカーが取り入れているビジネスモデルです。

D2CにおけるEC活用のメリット

ここからはD2Cに焦点を絞ります。

まずは、D2CがECで決済するメリットから見ていきましょう。

①コストカット

ECは、全ての商取引がインターネット上で完結します。

注文書、納品書などの書類、それに関わる事務手続きが不要です。店舗に人員を配置しませんので、家賃や人件費もカットできます。

また従来のBtoB取引の場合、まずは仲介業者に卸し、そこから顧客に展開される流れのため仲介業者への手数料がどうしても発生してしまいます。

D2Cでメーカーから直接顧客へ届けることで、仲介手数料をカットし、自社の売上を伸ばすことが可能です。

ECサイトの問い合わせに関してはチャットボットを導入することで、オペレーター業務を効率化できるでしょう。

少人数での運用が可能であるため、新型コロナウイルスの影響で多くの企業が取り入れたテレワーク下でも効果を発揮します。

②PDCAサイクルの高速化

従来のように仲介業者へ卸しているだけでは把握できなかった顧客の情報(顧客属性・購入動機・サイト内での導線や滞在時間など)を事細かに入手することができます。

また顧客からのフィードバックをダイレクトに得ることができるので、顧客ファーストでの改善が可能です。

さらに、ECでの取引内容は、全てデジタルデータとして保管されます。

デジタルデータの最大のメリットは、データを加工できることです。

データベースに蓄積されたデータは、予め設定しておいた抽出条件を元に簡単に分析できます。Excel、データウェアハウス、ECサイトの標準機能など、分析するツールに困ることはありません。

売れ筋、顧客導線など、様々な角度からECサイトを分析することで、顧客のニーズをスピーディーに把握できます。

営業会議や経営会議で分析した情報を共有すれば、ビジネスのPDCAサイクルが高速化に繋がるでしょう。

③顧客とのコミュニケーション強化


顧客は、パソコン、タブレット、スマートフォンなどの電子端末でECサイトにアクセスしてきます。

そのためECサイトにキャンペーン情報を公開したり、メルマガやSNSを活用して、ユーザーと直接コンタクトを取ることが可能となります。

メーカーと顧客の距離が縮まることで顧客がメーカーのファンになり、継続購入や口コミ拡散などの効果も期待できるでしょう。

また、ECサイトを多言語表記に対応すれば、海外との取引にも対応可能です。グローバルビジネスにも適しています。

海外との電子商取引は、経済産業省は「越境ECモデル」と定義しています。

越境ECモデルは、相手国のルールに従う必要があります。言語変換のみで国内のECサイトをそのまま流用できるかは、念入りに確認することが必要です。

事例から学ぶ!D2C-ECの導入ポイント

ここでは、D2Cブランドを3社ピックアップし、導入事例と成功のポイントをご紹介します。

顧客と繋がった睡眠ブランド/Casper(キャスパー)

画像出典元:Casper公式サイト

2014年に米国で誕生したD2Cブランド「Casper」は、わずか2年で100億円の売上を達成しました。D2Cの成功事例として、必ずと言っていいほど名前の挙がる企業です。

マットレス市場に参入することにおいて、同社が掲げた戦略は徹底的に顧客に向き合ったものでした。

当時、顧客は「強引に売りつけられる」「選択肢が多すぎる」「持ち帰るのが大変」と、大きく3つの課題を抱えていました。

そこで同社は、「商品ではなく体験を売る」「選択肢を極力減らす(最初は1モデルのみからスタート)」「自宅へ直接配送」の戦略を取ることで、顧客の獲得に成功。

つまり「体験を売る」とは、商品だけではなく、睡眠雑誌の販売や100日間の無料トライアルなど、顧客自身が商品をじっくりと選べるようにしたということです。

また、Casperは顧客との繋がりをとても大切にしています。

自社の商品開発に顧客の声を届けるため、試作品デモに顧客を呼び、フィードバックを製品開発に生かしています。

このことは、これからD2Cを目指す企業にとって真似すべきポイントです。「モノを販売したら終わり」ではなく、顧客と関係を築くことでD2Cブランドとしての位置を確立することを目指せるからです。

最初はマットレスを中心としたビジネスモデルでしたが、現在では、枕、ブランケット、グローライトの販売など、睡眠に関する様々な商品を販売しています。

わずか2年で時価総額14億ドルに到達/オールバーズ

2016年に米国で誕生したシューズメーカー「オールバーズ」は、現在はヨーロッパやアジア圏に進出。国内では原宿、丸の内に2店舗を構えています。

わずか数年で、世界展開を進めるほどまでに急成長を遂げたD2Cブランドです。

創業者のズウィリンガー氏は、「創業当時、シューズブランドはみな同じ戦いをしていた」と語っています。

そこで同社は、

  • オンラインでのみ販売
  • 季節ごとにモデルの入れ替えはしない
  • 小売店には卸さない

という独自のルールを掲げ、わずか2年足らずで100万足を売り上げました。

オールバーズから学ぶべき点は、SNSマーケティングに力を入れていることです。

アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏は「いくら良い商品を作っても、伝わらなければ意味がない」と語りました。

D2C-ECでは、いかにユーザーに商品価値を伝えるかがとても大切になります。BtoCとは違い、既存のプラットフォームが持つブランド力に頼れないからです。

LINE、Twitter、Facebook、Instagramなど、ユーザーの使用頻度の高いSNSを通じてプロモーション活動を行うことで、自社のブランド力を高める戦略が必要になります。

ここが、BtoBで成功していてもD2Cに移行するのが難しい点であると言えます。ターゲットが違い、マーケティング手法が異なるからです。

事実、D2C流行の中でも中々ユーザーを獲得できずに撤退する企業も多く、リスクがあるということを忘れてはなりません。

D2C-ECへの転換で増収・増益を達成/ワークマン

2020年2月に楽天市場から撤退を表明したワークマン。

経営への打撃が心配されましたが、2020年4月から12月までの決算は、売上16.1%増、利益22.9%増で、いずれも過去最高となりました。

コロナ渦で店舗への来客数が減った中でも、順調に成長を遂げています。BtoCからD2Cへ転換したことが功を奏した事例といえるでしょう。

ワークマンから学ぶべき点は二つです。

  • 既存ビジネス(BtoBビジネス)が安定している

    ワークマンの調べによれば、ユニフォーム市場の約70%が大企業・官公庁向けの納品といいます。BtoBの売上が安定しているからこそ、リスクを抑えた上で、D2Cへの転換にチャレンジできた背景があります。

    すでに安定したBtoBビジネスがあるのであれば、引き続き既存ビジネスの拡大を目指しつつ、D2C事業へのチャレンジを目指すのがよいでしょう。

  • 店舗受取以外は送料がかかる
    ワークマンの作業着は一着数百円のモデルから取り扱っていて、とても安価です。

    顧客目線で考えると、近くに店舗があるならば「送料を抑えるために店舗で受け取ろう」と考えるケースが多いことが見込めます。

    店舗受取を促すことで、店舗での「ついで買い」による、店舗売上の向上も期待できます。ワークマンのように複数の店舗を構えているならば、店舗への来店を促すことは売上を伸ばす貴重な戦略となりえます。インターネットでは味わえない、店舗ならではの顧客体験ができ、D2Cの目的である「顧客が自社のファンになる」可能性が高まるからです。

D2Cを検討する際には、「顧客との接点をどこで持てば、売上を最大化できるか?」を検証することを忘れないようにしましょう。

まとめ


ECの市場規模は、BtoB、BtoC、D2Cいずれのビジネスモデルでも、拡大を続けていく見込みです。

BtoB-ECでは、法人間取引になりますので、備品販売やビジネスの横展開を狙う場合に適しています。

BtoC、CtoC、D2Cでは、自社のブランド力や資産を考慮して立ち位置を決めることが大切です。例えば、全く認知度がない企業がD2Cに手を出すと、顧客へ自社ブランドが浸透する前に資金がショートする危険性があります。

D2Cを進める場合は、WebやSNSを使ったマーケティングが欠かせません。消費者の利用頻度が高い電子媒体上でプロモーションを行う必要があるからです。

マーケティング手法に注目することで、D2Cを成功に導くためのアプローチ方法が見えてきます。

D2Cを活用したビジネスモデルの拡大や転換を検討している企業は、今回ご紹介した導入ポイントをベースを検討すると、自社に見合ったモデルが見つかるでしょう。

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