導入事例

導入事例① DB構築×DB運用×EC連携

ECサイト用に仕入先数百社・数十万商品の商品データベースをゼロから1年で作成。

基幹システムと併せてタイムリーな商品情報更新のアウトソーシングに成功。

BtoB ECサイトが増えてきた昨今、BtoB専門商社も独自の販売・物流網を活かしてECサイトを立ち上げる動きが活発です。

しかし、レガシーな基幹システムで業務を回しながら、自社に適したECサイトを立ち上げるプロジェクトを進めることは容易ではありません。

材料費高騰による価格改定も頻発する中で、基幹システムの商品データのメンテナンスを後回しにするわけにもいかず、どうやってECサイト用の商品データを作るのか?

それを1.5年で実現した一つの専門商社のDX事例を紹介します。

 

背景

中長期の経営戦略から自社でECサイトを作ることを決定

BtoBの工具や機械部品の領域に強みを持つ専門商社A社は、歴史が長い営業会社であり、営業マン足しげくお客様へ訪問する文字通り足を使った営業スタイルで成長・発展してきた企業です。中長期の経営戦略から自社でECサイトを作成することが決まったのですが、 基幹システム以外に商品情報のデータベースがないことが大きな課題でした。

ボトルネックは商品情報データベースだけにあらず

A社様の場合、品番や価格などの基本的な情報は基幹システムに登録されていますが、 数百社を超える仕入先メーカーと取引があるため、膨大になるスペックや画像といった商品情報を管理する仕組み自体がありませんでした。商品情報データベースはあくまでもデータを格納しておく箱であって、そこにいれる商品情報は勝手に生まれてくるものではありません。ましてや、基幹システムのデータをそのまま流用できるわけでもありません。商品情報データベースを持っても、そこに入れるデータを整理して登録するリソースが無いこともボトルネックとなっていました。

 

課題

どこまでやるか問題。 コストバランスとの闘い。

メーカーが持つ商品情報を全てデータベースとして登録しようとすると膨大な量になります。商品マスタを作るには、メーカー支給のCSVやカタログPDFから、必要な項目と値を取得してくる必要があります。そのため必要な項目が増えればコストも当然増えるため、すべての商品情報をECサイトに掲載することは時間とコストの問題でできません。しかし情報が少なすぎると、ECサイトが寂しくなるばかりかECサイトの本来の用途としてお客様が欲しい商品を特定するための情報提供に不足が生じてしまいますので問題です。だからこそ、投資対効果の高い商品マスタ作成に取り組むことが必要でした。

リソース問題。今のプロジェクトから数年先の運用体制まで見据えた計画の必要性。

ECサイトは公開してからが本番です。 数十万件もの商品があれば日々変更のある商品情報は相当数あります。一度ECサイトに公開してしまうと、メンテナンスをしないと間違った情報で商品をご購入されてしまいトラブルにつながります。

商品情報や価格は基幹システムに登録されていて、基幹システムから新商品情報データベースのスペック情報や画像と合体して、ECサイトに連携される流れです。そのためECサイトの公開は、基幹システムのメンテナンスも遅滞なく行う必要がありました。商品情報データベースというシステムをつくって終わりではなく、その後をどう運用していくかを見据え、プロジェクト体制からその後の運用体制まで含めて早期から考える必要がありました。

 

解決策

EC運用までに解決することを、 プロセス全体で解消支援

商品情報データベース構築までの一連のプロセスをコンサルティング

商品情報データベース構築するには、メーカーから商品マスタを作るための素材 (CSVやカタログを提供いただき、そこからECサイトに必要な商品マスタを構築し、格納する商品情報データベースを構築することが必要です。そのプロセスをコンサルティングし、お客様自身がやらなければならない業務を支援しました。

      メーカーへの依頼文面や差出人形式 電話といった、工程全体の管理体制の実施支援

      ターゲットの検索シナリオから導き出すECサイトに必要な商品情報の選別をするための評価基準

      商品マスタ作成から商品情報データベース構築全体

 

ユーザーの検索シナリオから逆算し、 スマートな商品マスタとDBを構築

A社様のECサイトで想定される利用ユーザーは、プロユーザー、つまり仲卸が多く、 商品名や型番だけで欲しい商品が特定でき、特長文やスペック値等をわざわざECサイトで検索しない特長があります。つまり型番で検索して、間違えてないかの確認ができればよく、 BtoCのように商品を比較して購入するといった使い方がないことがわかりました。そこで、検索に使われそうな最低点の情報のみを取得し、スペック等詳細の情報はカタログ紙面を画像として登録することで、コストを抑えつつ目的を達成できるベストバランスの商品マスタを構築しました。

仕入決定からEC公開までのプロセスを描き一括代行

新商品の追加や価格改定等、ECサイトに公開している情報を常に最新に保つために、基幹システムとECサイトに表示する商品情報のタイムリーな更新が欠かせません。しかし、お客様側で数十万点の商品情報をタイムリーに更新できる社内体制をすぐに準備するのが難しい。そこで、弊社側でバックオフィス業務専任のチームを立ち上げ、基幹システムと商品情報データベースの運用を一手に引き受けました。新たに作った商品情報データベースに加え、基幹システムの運用までアウトソースできるようになり、限られた社内リソースを売上げアップに繋がる業務に集中させることができました。

 

効果

l  ゼロから1年でECサイト用の商品データベースを完成(ECサイト公開)

l  ECサイト公開後3ヶ月で、基幹システムも合わせて運用のアウトソーシングを実現

l  基幹システムメンテナンス担当の人件費を削減(正社員1名、派遣スタッフ6名相当)

今回、「商品情報データベースを構築したい」と問い合わせをいただきましたが、 お客様のニーズとプロセスを分解したことで、BPRとバックオフィス業務ということがわかりました。ECサイト運用に割く社内リソースを30%削減、各営業所からの問い合わせ対応時間を40%削減することができ、より高度な業務に従事させることができたとのことで喜びのご連絡をいただいています。今後は、ECサイトの情報の拡充やユーザーにとって性の高い機能やカテゴリ情報の設計など、ユーザーの満足度を高めるECサイトの基盤支援に取り組んでいきます。